NAGA解析なんかもやってみた話

牌譜のAI解析が行えるNAGAを試してみたのだが、思っていたほどでもないという印象だ。NAGAの出来がイマイチというわけではなく、「いやまあ、AIの言うことは判るけど、どうにもならないじゃん」としかならないのだ。

自力で雀聖や七段あたりになれる人からしてみれば、NAGA度は90%、悪手率も5%前後が普通だろう。ものすごい微差のところで「なるほど、そっちがいいんだ」と思わされることはあるものの、結果においては「運ゲー」によるところが大きすぎる。

 

実際にNAGAを導入して、いざやってみるか! となると検討する価値も無いクソ牌譜ばかりであることに気づく。東1で親が18000と24000をアガって終了とか、一人だけがリーチを連続してツモり続けて終わった半荘であるとか、選択の余地がなく4着終了であるとか、選択で悩む以前の結果でしかないことが大半だ。

NAGAの解析は月額で有料であるため、どれでもいいから放り込んでみようという気にはならない。勝敗は問わないにしても、それなりに迷った個所や価値のある牌譜を入れたいところだ。

 

もちろん自分でも気づかないミスを知るためには片っ端から解析にかけたほうがいいのだろうが、30日で10半荘分(月額500円コース)となるとそうもいかない。

例えばオーラスでドンラス、他との点差も18000点あるとして、手順を無視して面前の清一色に向かったとする。そのときの手順などメチャクチャである。だがそうしなければラスのまま終わってしまうと判っているのだからNAGA度など知ったことではない。

そんな牌譜をAI検討にかける気など起きるはずもないだろう。

 

こんな調子で「AI解析がどうのとかいうレベルじゃないな…」と思わされるのが麻雀の限界かなと思う。

プロでも大会であれば逆転のために無理矢理に役満を狙ったりする。そういった場合にAIで検討をするのは無駄だろう。わかりきって無理なことをしているのだから。

 

・合っていても負けるのが普通

そもそも上級者であれば冒頭でも述べた通り、NAGA度や悪手率に大きな変動はない。ほぼ正解を選んでいても普通にゲームには負ける。「この微差が積み重なって勝利しやすくなる」と言えば聞こえはいいが、ハッキリ言って体感でも運による振れ幅のほうが大きすぎる。

やはり麻雀における微差とは将棋や囲碁やチェスのように結果には響いてこないことのほうが多いのだなと実感した。

 

NAGAの選択とプレイヤーの打牌が異なっていた場合にはNAGAから指摘が入る。そこだけ追って見ることも可能だが、振り込みをしていても正着であれば悪手とは取られない。

半荘でダマテンに3回ほど振り込んだが、そこを咎められることはなかった。リーチに対して通っていた9sでロンされたり、オタ風の北を切って単騎でロンされたり、リーチ後に12000に振り込んだり、そういったものはAIも知らんがな、ということらしい。

 

例えば他家リーチ後の安牌でも「明らかに危険牌を連打している上家」などがいれば、そこもケアして打つようになるが、「特に危険牌を切っていない現物待ち」など判りようがない。AIでもそこは変わらないのだ。

字牌単騎なども危険度は何も合っていない。NAGAが推奨している牌でさえロンされる。変則ダマテンのケアは実質無理なのだ。

 

NAGAが推奨するリーチ判断も実戦とほぼ変わらない。打つべきところでは打つ。だが結果、勝てるとは限らない。AIが推奨しようと負けるものは負けるのだ。

また「残り一枚の牌」などはさすがにリーチ判断も低くなる。その結果、残り一枚が場に出たとしても関係がない。結局は人間と同じでそんなリーチを打つのは勧められないのだ。

 

あとネタとして、「リーチ後に赤を自模ってくる」「一巡差で欲しい牌を切っている」「多面待ちより単騎を選んでいればアガっていた」など、これらのものをAIがスバリ的中させる、などということもない。人間と同じ選択をして、人間と同じように裏目を引く。

 

・NAGA導入は初中級者ほど良いと思う

上級者が導入するメリットは薄いように思う。もちろん「より微差を突き詰めていく」というのであればやる価値はあるだろうが、「中級者以上は運ゲーに寄る」と感じているのなら必要性は薄いだろう。

 

実際にNAGAの選択に驚かされるというほどでもないし、(すでに基本ができている上級者にとっては)何らかの指針になるほどでもない。やはり運によるブレのほうが大きいのだ。それと麻雀の選択肢というのは、それほど幅が広くないとも感じられる。

つまるところ「誰がやっても同じ打牌だよね」というのが多いのである。パターンがそれほど多くないので結果、大きくぶれることがない。やることややれることの幅が決まっているのである。

 

だからこそ初中級者がNAGAを見ながら「この打牌のどこが駄目だったんだろう」と考えるきっかけにするのは良いと思う。上級者は「そりゃこの牌を選ぶよな」と同調するか、「こんな牌を残してたら上家に対して危険すぎるだろ!」とNAGAに反論する機会が増えるだろう。

多井プロの配牌オリなどもNAGAが推奨することは一生無いと思う。

 

またAIの推奨も結局は一巡ごとにツモ次第でコロコロと変わるので、「損をしても三色同順を狙いに行った」という場合に、最初の評価値は損をしたということで減るが、次順で順子になって三色がつけば大幅に上昇する。

このあたりの損をしてでも打点を取りに行く選択はAIには苦手のようだ。

 

くっつきのイーシャンテンで3pと4mのどちらを残せば正解だったか? などという問題もAIで結論が出ることは無い。例えAIが3pのほうが有利!と言っても、裏目って4mを引くのも普通だ。そうなると人間の選択と大差ないのである。