麻雀の守備がつまらない話 2

雀魂でいうと金~玉の間くらいのプレイヤーであれば、牌効率に従って手組を作ることは基本になっている。多少無駄な手順を踏むことはあるものの、手なり(配牌とツモに従って手牌を組むこと)で最速リーチを打ってくることは珍しくない。

銀の間以前のように終局間近まで聴牌を狙って打牌するということは、玉の間以上では不利になりやすい。それは「対戦相手の信頼度が高い」ということでもある。(つまり舐めプできないという意味)

 

玉の間で自分の手牌が悪かったとしよう。となると、他の誰かが高打点や先制リーチを入れてくることは間違いない(これが信頼度)。だから配牌やツモが悪いときは早い段階で「オリよう」となるのである。

銀の間以下でこれが起きづらいのは「でもモタモタして手牌を組むのも遅いでしょ」という、まぁ舐めきった思考があるからだ。(でも麻雀は運ゲーなので2巡目高打点リーチとかが飛んできて舐めているとやられる)

 

相手の技術力を認めればこそ、オリる準備をするようになるのである。

 

・高打点と上級者の暗黙の領域

金~玉の間で勝ちきれない中級者にありがちなのは「打点が無いのにリーチ(攻め)に行きがち」というものである。これは上述した「オリ手順を踏まない」にも通ずるところがあるが、何でもかんでも聴牌を目指して、テンパったからリーチ!という杜撰なものだ。

 

基本的に「オリ手順を踏む手牌」というのは「低打点」であることが明らかだ。

ドラも赤も無し、役牌や手役も見えない。リーチしても愚形の1000点。

そんな手を時間をかけて、相手の高打点に対して仕上げてリーチ、などというのは押し引きが成立していないのだ。

 

もちろん途中でドラや赤をツモって自分の手が高くなる可能性は捨てきれない。状況によっては追うのも全然ありだ。だが自分がトップ目であるとか、平場の東2であるとか、まだ無理をする状況でないときはオリ手順を考慮するのが優勢になる。

安い手で押して、押し返しの8000点や12000点の追っかけリーチに振り込んでいては目も当てられない。

 

自分の手が安いときはオリる。最低でもドラ1以上の場合はリーチを目指すのが理想だ。ドラ2以上であればもうオリなど考えることはほぼ無い。

上級卓でもデタラメな危険牌連打や猛プッシュを仕掛けてくるプレイヤーがいる。彼らは下手なわけではなく「高打点の手牌が来てますよ」「絶対にオリませんよ」という意思表示なのだ。

上述した信頼度の話である。

 

だが初中級者はこれができていないので何でもかんでも聴牌を目指して、打牌もメチャクチャになる。1000点ノミ手なのに、見えている親のダブ東ドラ3に対して無筋の危険牌をバシバシ切ったりする。

上級者なら親のダブ東がドラポンなんてされた日には店じまいだ。せいぜい「聴牌はしてるから安く蹴ってやろう」と狙う程度だ。

 

よく言われる「初心者が混じると打牌の意図が読みづらい」というのは、こういう構造である。上級者同士であればリーチや鳴きの以前に自分の手牌と相談した時点で押し引きの目安ができている。それに従って序盤からオリを考えたり、打牌を強くしたりできる。

そして打牌の強い相手がいれば「ああ、この人は良い手牌が入っているんだな」と察することができるのである。だが初心者は何でもかんでも押してくるので打点も読みづらい、というわけだ。それによって「場が成立しない」という苦情もある。

 

「現代麻雀で迷彩は必要か?」というトピックを書いたが、ブラフ(嘘・ハッタリ)は存在している。特にホンイツでもないが、手が悪いので字牌をキープしつつ、危険なところを落として、あわよくばホンイツ、といった手順。

だがこれは相手から見ても「手が悪いからとりあえずホンイツに向かってるやつかな」とバレやすい。

しかし、判っていても中盤以降でポイっと染め色の牌を捨てられた途端にやりづらくなる。「余らせたということは聴牌が入ったのか?」と考えて、染め色の牌が余ったとしても切りづらくなる。

このようなブラフはそこそこある。だが、これも「結果としてブラフになっている」程度で、狙ってやっていると効率が落ちるだけになるので意味はない。

優先すべきはアガりであって、迷彩やブラフを優先していては効率が落ちるだけだ。

 

・アマチュアの麻雀は大雑把でもいい

プロ同士の戦いでも「配牌オリ」は普通にある。初手から国士無双を目指したり、字牌をキープして混一色を目指したり。だが基本的にプロであればギリギリまで聴牌を見て打牌する。最後までわずかな可能性を追っていく。

 

これはできるならやっていい。ギリギリまで聴牌を狙って、他家からリーチが来ても無事にオリきれる自信があるのなら問題ない。

だが実際にそこまでの微差というのは滅多に生じないのだ。大体は配牌とツモが良い人がアガって終わりになる。危険を冒してまでギリギリまで粘るメリットはあまりない。

 

それよりも半荘を数多く打ったほうが効率がいいのだ。

大会戦など試合数に限りがある場合は最後まで粘ったほうが良いが、段位戦など数をこなすのが前提であれば多少おおざっぱに打って、数を回したほうがラクになる。

もし一日で打てる半荘が2回程度で集中して打つほうがよいのであれば、粘る打牌でも構わない。(守備に自信がある前提で)

 

まだ守備に関してそこまで自信が無い、あるいは連戦するのでそこまで毎回細かく神経を使っていられない。というのであれば、手牌判断を大雑把にしてオリか攻めかを決めてしまうほうが簡単だ。

大雑把にすると言うと悪い印象もあるだろうが、シンプルにすればミスも減るのである。複雑でギリギリのほうがミスは出やすい。

だからこそ技術や自信がなければ毎回のようにギリギリを攻めるのは危うくなる。

 

上級者卓でも王座の間や天鳳卓など最上位の卓であれば、そういったギリギリのせめぎ合いも増えるだろう。