麻雀マンガと麻雀

麻雀が娯楽として広まっている近代においては、麻雀雑誌も存在しておりコミックスや邦画にもエンターテイメントとして広まっている。

「麻雀とオカルト」については以前のトピックで触れたように、ランダム性があり法則は完全には見いだせないという麻雀の特徴から相性がいいと書いた。

これはフィクションについても同様だ。

 

コミックスの内容は基本的にフィクションである。現実には起こりえないことを書くからこそ面白いのだ。麻雀についてはデタラメな内容が多い。打ち筋や打牌よりも、配牌やツモについてである。

「こんな配牌こねえよ」「こんなツモあるか」と実際ならツッコミを入れたくなるが、「まぁフィクションだし…」と気にせずに楽しむのが普通である。そして麻雀なら「ありえなくはない」のが肝心だ。

 

コミックスでは天和や九蓮宝燈国士無双十三面待ちや四暗刻単騎がポンポン出てくる。だがそんなのプロ雀士だって生涯に何回あるか程度だ。実際にはまずありえない。だが「あり得ないなんてことはあり得ない」のが麻雀だから読めるのだ。

 

・流れというオカルト

麻雀マンガによくある「今のお前の流れじゃ勝てねえ」と言った台詞。現代であれば「何言ってんだコイツ」と一蹴されて終わりである。だがそれっぽいのでエンタメとしては通用する。

言われたキャラクターが「ぐぬぬ…」となって怯んだりする。

 

もちろん流れを否定したり、自分流に解説してみせる現実的なコミックスも存在する。だがハッタリとして「流れはある」という展開のほうがエンタメしやすい。マンガはハッタリが重要だ。ウソでいいからメリハリをつけるほうが優先される。だからこそフィクションでありエンタメなのだ。

 

麻雀、オカルト、マンガ。この3つは上手く作用すると思っている。

 

イカサマ要素

麻雀マンガに限らないがギャンブルものではイカサマ展開が定番である。そもそも胴元がまともに勝負をしないということもある。

実際に麻雀を突き詰めた者たち、主に昭和の打ち手であればイカサマの有効性は身に染みているだろう。なにせ麻雀は突き詰めれば結局は運ゲーになる。不利な局面を実力で打開するにはイカサマしかないのだ。

 

なので、これに関してはオカルトよりも説得力がある。実際に使われている技に関しては疑問が残るトンデモは多いが、ぶっこ抜きやエレベーターなど現実的な範囲のイカサマも多い。

現代でも雀荘ではイカサマが使われることはある。

 

・コンビ打ちやオヒキ

これも現実的な要素である。雀荘でもあるだろうし、ネット麻雀でも横行している。

天鳳十段が実は自演アカウントによる同卓打ちだったという実例のほかに、雀魂でも牌譜屋の実装により異常な同卓率の高さが明らかにされたアカウントがあった。

ネット麻雀の場合は雀荘よりも履歴が残るので後からも発覚しやすいのがデメリットだろう。

 

麻雀マンガにおけるオヒキやコンビ打ちはサインを決めて打牌を決めるというものがある。ネット麻雀でもスタンプ機能があるものはスタンプでサインを決めて打つということが可能である。

(筆者が実際に見たのは「コンビ打ち大会」でスタンプサインを決める展開)

 

・麻雀で億単位の金が動く

主に裏社会のレートで組ごとに金を出し合うという展開。真面目にツッコミを入れれば「なんでわざわざ麻雀で億単位の金をかけて勝負するんだよ」となってしまうが、舞台装置としては使いやすい。

現実に麻雀で億単位の金を動かすなど・・・MリーグというかAbemaTVの赤字はなってるわ・・・。

 

他にも憶ション(値段の高いマンション)で行われる高レート麻雀など。バブルの時期には行われたという、それっぽい設定。こっちのほうがありそうな話ではある。

 

雀荘のチップで暮らしている人

これも現実にはあり得ない。よっぽど良いカモがいて「毎月10万の最低保証がある」という条件でもなければ暮らしていけない。

知り合いの麻雀が強い人間でもフリーであれば勝ったり負けたりが普通である。収支がプラスになることなどない。

だが今ほどネットで気軽に麻雀が打てる時代でなければ、雀荘初心者狩りしてるだけで勝ち越せる時代もあったのかもしれない。(という幻想)

 

筆者はパチスロや競馬といったものには一切興味がないが、周りでこういったものに手を出して生涯収支がプラスになっている人間はまず見ない。いないことはないがゴト師レベルのことに手を出すハメになって泥沼のものだけである。

 

・師匠と弟子

これは普通にあるだろう。現代のプロの中でも門下としての位置はある。

Mリーグに出ている鈴木優と魚谷は師弟関係にある。

ただ現代では団体や連盟といったプロ加盟によるところが大きいだろう。将棋棋士のように「~くんは何期生の一個下」と表現されることが多い。

 

雀荘でも初心者に教えて仲良くなったという人はいるだろう。私も麻雀を覚えたのは実際に卓を囲う年上の友人たちに教わったからだ。ネット麻雀もあったが今ほど一般的なものではなかった。

ネット麻雀は天鳳が出てからだった。

 

・ネット麻雀

漫画の中だと実際に卓を囲っていることのほうが多い。自分が挙げられるものだと「天牌」の中で北岡というキャラクターがゲームセンターで(おそらく当時の麻雀格闘倶楽部を)打っているだけである。

今後はネットやVRといったものを活用した作品も増えていくだろうし、すでにあるかもしれない。

 

漫画としてネット麻雀は絵にしにくいので難しい分野かもしれない。パソコンやスマホを手にしたキャラクターが自室で打っているだけの絵では…。ただそれだけに良いアイデアがあれば他にない題材を生み出せる可能性もある。

 

囲碁マンガの「ヒカルの碁」ではドリームマッチとしてネットでの対戦が実現している。幽霊と現代トッププロの対決である。

この回は周囲の人間にも噂が広まり、視聴者が多かったという盛り上げ方で見せている。単に二人が自室でパソコンに向かってポチポチ…という地味な絵ではない。

 

ただ現代で鑑みると「ネット麻雀で強い人がいるからプロが対局したがる」というのは考えにくい。(だからこそ題材として生きるか?)

特に麻雀においてプロ麻雀とネット麻雀は別物扱いされていて、「強さを測る基準」としては用いられてはいない。実際に卓で打つこととの差異も認められるが、プロが活動としてネット麻雀に本腰を入れるということはあまりない。

 

ネット麻雀からプロになるというドリームは朝倉康心らが叶えたのが、ここまでの山場であったように思う。今後も新しい世代がもしかしたら出てくるかもしれない。