麻雀は常に不利なゲーム

麻雀は常に1対3の戦いである。

卓に着いた時点でプレイヤーはそれぞれ不利なのである。

その不利を跳ね返すほどの運の上振れを味方につけなければ勝利などありえないのだ。

 

よくよく考えてみてほしい。

MTGなどのカードゲームで1対1ではなく、4人で回したらどうなるか(実際にブロールといったルールもあるが、それはプレイのためにバランス調整が設けられている)

4人でカードを引き合って、場況に合わせてカードの引きが良い者が有利を得るのは容易に想像できるだろう。1対1のMTGでもカードの引きが勝敗に大きく関わるのは言うまでもないが、多対一ではその確率が3倍になるわけだから不利になりやすい。麻雀とは常にその戦いなのである。

 

麻雀のランクマッチは上級卓に行くほど守備に偏重していく。より攻撃参加できる機会は減り、守備に回ることのほうが多くなる。その理由について詳しくは後述するが、なにせ1対3の戦いをしているのだから。相手の人数が多い分、攻めてくる確率も上がり、自分は守ることのほうが増える。

 

以前のトピックにも書いた通り、麻雀を楽しいと思う部分はアガることにあって、守備を楽しいと感じることは少ない。

守備を楽しめないプレイヤーは上級卓で打つことに面白さを見いだせないだろう。自分以外の周りがじゃんじゃんアガって、自分はラスを引かされるだけのクソゲーと化す。

だが常に不利な戦いをしている麻雀において、そうなることは避けられないのだ。20%で強制的にラスを引くのが前提のゲーム。負けないように打っても、負けるのが前提のゲームだ。

 

・「1/4人しか勝てないゲーム」という前提

局ごとにみても、誰かが和了すれば残り3人はダブロンでもしない限りはアガれずに終わることになる。

一人が半荘戦で聴牌和了までいく平均は20%程度だとされている。つまり5局に一回しか自分にチャンスは巡ってこないのだ。

さらに下振れればヤキトリ(一回も和了できずに終わること)も珍しくない。上振れれば連荘もあるが、平均するとこの程度になる。

 

半荘戦は最低8局であるから、下手すればワンチャンスあるかないか程度だ。どこかで流局や連荘を挟むので10局が普通だとしても、2回チャンスがあれば良いほうになる。

言われてみると実際にその程度だとは思う。

アガれるチャンスが1/5局で、半荘にだいたい2回程度としたら、残りの6~8局は攻撃参加できずに傍観者となることを意味している。

このように守備の割合のほうが増えていくのだ。

 

「麻雀は必ず負けることがあるゲーム」だし、「ほとんど有利に立てないゲーム」だと認識する必要がある。

 

こう書くと麻雀は突き詰めるほどに「守備のゲーム」ということがわかる。私も過去に人に幾度も「守りすぎ」「気にしすぎ」と言われてきたが、実際にバランスとして間違っていないと思う。そういうアドバイスを受けて攻撃的にいっても負けが込むだけだった。

雀荘やトップ取りルール寄りであれば多少は押したほうが良いのかもしれないが、ネット麻雀のラス回避ルールにおいては押しすぎて良いことは無い。

上振れて調子のいいときは何でも都合よく片付くが、ちょっと下振れれば振り込みが多発してラスが増えていく。

 

いつも言っているように上級卓だと基本的に全員が最速で聴牌してリーチしてくるか、ヤミテンを入れる。リーチを打たれて後手に回れば守備にまわるしかないし、ドラ赤などを場に出してきたらヤミテンを気にしながら打つ必要もある。

それが自分以外の3人がやってくるのだから、自分が有利になれることのほうが少なくなっていくのは明らかだ。

 

最近、牌譜屋で配牌時の手牌の良し悪しの数値化が、親と子で分けて表示されるようになった。それを見ると親のときの配牌は、常に子の配牌の良さを大幅に下回る。

そもそも親は2/8しか回ってこないが、子は6/8あるわけで、平均しても子のほうが数値が良くなるのは理解できる。

ともかく2/10で巡ってくる和了チャンスが、さらに1/4となれば親で好配牌が入ることなど滅多にないというしかない。親番でも守ることのほうが多いだろうが、ツモられると支払いが高くなるのは嫌なものだ。

 

麻雀において「運と実力の比率」は話題になりやすいが、「攻撃と守備の比率」についてはそこまで話題に上がることはない。

それは人によって違う、という言い方もできるが、基本的に上のランク帯にいくほど守備に偏重していくのは間違いない。

私も過去に上級者の打ち方を見ているときは「この巡目でそんな牌を警戒してオリるのか・・・」と思っていた記憶がある。だが今となってはこれを肌で感じるところまで来た。

 

さらに麻雀は自分が「攻撃的にいきたい」と思っていても配牌とツモが効かなければ何もできないことがザラだ。

ツモってくる牌を自分で選べるわけではないのだから自然と負ける手組になってしまうこともある。そのくらい麻雀において「人間の意志」というのは意味が薄いのだ。