ゼンツに巻き込まれると運ゲーになる話

初級、中級、上級、と三つの卓にランク分けしたときに、一番実力差が出にくいのが「中級」になる。

 

初級卓で打てば牌効率・オリ・押し引きで明確に実力差が出やすいものの、中級卓だと「手作りはできるが、オリ・押し引きはしない」という攻め一辺倒のプレイヤーが同卓することになる。

上級卓でリーチを打てば「先制を取られたのなら無理せずにオリる」「打点が無いから副露手に無理に押しても仕方がない」と回して打つことが多いため、必然的に流局やツモ上がりが増えていく。

 

だが中級卓では誰もオリない。回しもしない。

真っ直ぐ打って聴牌したら追っかけ即リー。待ちの良し悪しも関係ない。残り1枚のカンチャンペンチャンでも打ってくる。

当たるか当たらないかのロシアンルーレットをやっているだけである。

 

だが実際にこうなると、どれだけ上手い人でも苦戦することになる。何せアガりを拾えることもあれば被弾してしまうことも増える。ゆえに運ゲー要素が強まるのだ。

上級卓でも押し返しの追っかけリーチを受けることはある。しかし、それは相当に強く打って出る理由が何かしらある場合だ。「打点がある」「自分から見て安牌だけで勝負できる」「待ちが現物など有利である」といった点だ。

 

中級卓ではそういった押し引きもない。1000点でも聴牌したから即リー。それに裏と一発が付いてマンガーン!なんて事故が頻発する。こっちが先制ドラ赤三面張でも関係ない。運ゲーだからこそ通用してしまう。

麻雀がそもそも運ゲーであるがゆえに通用してしまうが、上級卓であればパワーバランスというか押し引きの見えないルールみたいなものが存在しているが、中級卓では無法地帯と化す。

 

麻雀はアガり形さえ作れればあとは運ゲーなのは間違いない。そこにもうひとつまみ、押し引きや守備が合わさることで高度なゲームと化す側面がある。しかし、そこは強制されるルールではない。

ただゼンツだけしていてもいいのが麻雀だ。

 

・ゼンツ麻雀は純粋な1/4ゲー

中級卓になると「アガれる好機に恵まれた人が勝つ」というだけになっていく。

上級卓であれば「簡単にはアガらせない」「絶対に振り込みたくない」「押し返すなら高打点にしてやる」など条件がつくところを、中級卓だと何でもかんでも放り込んでリーチリーチとなる。

 

こうなるとただの運ゲーでしかない。たまたま高打点の手が入って、たまたま放銃せずに、たまたまアガれた人が勝つ。それだけのゲームになっていく。

そうなると勝率はどうやったって1/4にしかならない。

 

4面体のサイコロを振って、1~4が出る確率は1/4になるだろう。麻雀も基本的にはそれと同じ確率にしかならないのだ。それを牌効率・守備・押し引きといった点で差をつけていく。

だがゼンツ卓になると攻撃で1/4のサイコロを振っているだけになる。さっきはたまたま勝ったが、今度はたまたま負けた。それの繰り返し。

 

上級卓での負けというのは「何もできないで負け」「何をやっても負け」という「絶対に負けしかなかった」という理不尽クラスのものが大半になる。

それに比べたら「たまたま運悪く負けた」というのは、「押し引きをちゃんと考えてオリていれば4着は引かなかった」くらいにはなるのだ。

だがゼンツ麻雀にそれは無い。

 

・守備的なほうが長期的に勝ち越せる?

そうとも言い切れないのが麻雀の嫌なところである。もちろん理屈としては上述してきたようにゼンツよりも押し引きに従って守備や攻撃をしたほうが、無謀な4着を引くことはなくなっていく。

だが何度も書くように、それは周りが押し引きを含めた麻雀をちゃんとやってくれることが前提だ。

周りがゼンツ運ゲーをやっているだけだったら、自分がどれだけ正確に判断をしようと関係ない。崩壊した卓は戻らない。何も思考しない卓になるだけである。

 

3/4人がそんな麻雀をしている中で、一人だけちゃんとした麻雀を打っても嵐の中で身なりを整えて傘を差すようなものだ。ボロボロになって放り出されるだけである。

誰もお上品な麻雀に付き合ってなどくれないのだ。

 

そうなると結局は強制的に4人で運ゲーしているだけになる。自分が親で先制良型高打点のリーチを打っても誰も引かない。無謀に押してきて、他家も無筋をバシバシ切って、聴牌した他家へ放銃して終わってしまう。

上級卓のように手を回したり、高打点を目指して役作りをしたり、リーチを目指すといった暇さえ与えてもらえない。ただただ運で配牌とツモが良い人が打つだけになっていく。

 

それで勝ててしまうのも麻雀であるがゆえに、非常に実力を測りにくい、ともすると実力を測れないのが麻雀という遊戯ではある・・・。