麻雀で相手を称えるのが大事な話

「接待麻雀なんて漫画のイカサマくらいあり得ない」という話は以前にもしたのですが、それはそれとして麻雀はパーティーゲームとして実力に関係なく勝敗がつくゲームです。

そのときに「くそー!俺(私)だって勝ちたかったのにー!」というのはマナー違反なわけです。勝ちたいのは全員同じ。その中で今回はたまたま自分が負け役だったというだけ。自分だってたまたま運良く勝てることがあって、相手が運悪く負けてしまうこともあるのです。

そのときに相手も負け役を演じてくれているのであれば、自分だけ負けたときに不平不満を言うのはお門違いということです。

 

決着の場面において、勝者敗者ともにお互い配慮が必要になる。相手を想いやった態度や発言をとる。自分はこれが実力に関係なく、最終的な麻雀の極意だと思っています。

どの分野でも同じですが、この気遣いができない人間というのは誰からの敬意も得られません。周りから相手にされなくなります。「俺の人生は唯我独尊、そんなもの必要ないぜ」という方は構いませんが、周りからしてみれば実際いい迷惑なのです。

そんな人生の教訓を麻雀で学べてしまうなんて得ですね。

 

・最後まで打つという基本

将棋や囲碁やチェスなどでは礼儀作法も厳しく指南される傾向にありますが、始まりの挨拶から終わりの作法まで明確になっています。以前もトピックにした「投了」についてもそうです。

負けを認めずに続けるのが相手に対して失礼にあたるという自覚があるかなど、または「負けました」ということを認めずに離席・退席するなど。これらはよろしくないとされています。

現代でも日本ではこういったことはどのゲームでもマナー違反と認識されていると思います。よく見かける光景ですが、負けが濃厚になって逆転も無理な状況になると回線を切断してゲームから出て行ってしまう。麻雀でも格ゲーでもFPSでも日常茶飯事です。

 

でもそれが当たり前になってしまっては礼節はよろしくない方向に進んでしまう。相手のことを考える必要がないオンラインゲームだからこそ切断放置しているプレイヤーもいるとは思いますが。(自動操作に切り替わったり、抜けられた時点で無効試合になったり)

やはり最後まで相手に付き合って終わらせるというのもひとつのマナーになります。負けているのに、負けるのが判りきっているのに最後まで真面目にやらなければならないなんて馬鹿らしいと思うかもしれませんが、人生では誰もが常に勝者ではいられません。誰だって負ける側に回ることがあるのです。というか、そっちのが基本的に多い。

勝者なんてごく一部、あとは負け越している人のほうが多い。そんな中で「俺は負け組の馬鹿どもとは違うんだよ!」なんて態度を取ったり、叫んだりしたら大半の人に相手にされなくなります。

みんなそういう悔しい思いを耐え忍んで生きているんです。

 

自分が勝者となったときに周りからブーイングされないためには、自分が敗者のときにどれだけ勝者を称えられたかが問われる。だから「他人は自分の写し鏡」なんて言葉があるのです。

 

・麻雀は理不尽だからこそ学べる

完全に実力の世界であれば麻雀のような気遣いが起きないこともあります。本当に独裁者みたいなチャンピオンはジャンルを問わずに存在します。しかし実力があるからこそ許される。ときには相手に無礼を働いたり、ときにはスキャンダルや問題発言をしたり。でも実力の世界というのは「それでも実力は認めなければならない」という側面があります。

よく言う「結果と人間性は別」「作品と人格は別」といったものです。

 

人権意識が無いトッププロのスポーツ選手、問題発言が多いトッププロゲーマー、身内に暴力を振るう売れっ子作家。周りに迷惑をかけまくる音楽家などなど。

とはいえ、礼儀正しいチャンピオンももちろんいますし、無礼で横暴な人間が全てではありません。そして何よりチャンピオンだから横暴で無礼なのではなく、その人間が元々そうだというだけでしょう。無礼で横暴な人間がチャンピオンになったというだけのこと。

歴史の1ページではそういうこともあるでしょう。

 

しかし実力の世界に生きる人間はその不条理を受け入れるしかない面もあります。それが「実力の世界」であるがゆえに。

では麻雀はどうかというと絶対にそんなことは起こりません。麻雀において「永世名人(何期にも渡って連続でタイトル保持した称号)」なんて生まれることがありません。

結果が常にランダムだからです。麻雀の世界において「実力でわがままを通す」なんてことは存在し得ないのです。

 

「負けるのが当たり前のゲーム」だからこそ、誰もが敗けたときの作法を心得ている。その準備ができている。プロであればその意識はより一層高いと思います。

「俺が負けるわけない!」なんて思っている人はいないわけです。(超長期的に打ったら勝ち越すぞ、と思う人はいるだろうけど)

何回かやって、何回かは負けるのが当然のゲーム。だから「(今回は)俺の敗けです。お見事でした」が素直に出てくるようでなければならない。

 

しかし麻雀で理不尽な負けを食らって嬉しいことなんてひとつも無い・・・。

カラス天狗のように「お見事なのじゃ」とはなれねぇ・・・。

キレちまったぜ 屋上へ行こうぜ だよ・・・。
(獣か?)