ゼンツに巻き込まれると運ゲーになる話2

前回も書いたゼンツ相手の麻雀。

麻雀には3つの実力要素があるとされており、それは「牌効率」「守備」「押し引き」といわれる。

 

この3つのうち、牌効率に関しては効率的に上がるうえで身につけるプレイヤーは多い。守備と押し引きについては覚えるプレイヤーは少なくなる。

自分の仲間内で麻雀が強かった人間も豪1まで上がった後に、守備ができずに玉の間から落ちて雀傑まで降段している。

段位戦を行う上でどこで差がついたのか、いうまでもなく守備と押し引きである。

 

インターネットが普及する以前の学生が覚えた麻雀というのは、現代と比較すると恐ろしくレベルが低かった。オカルトや俗説を信じて中途半端な打牌をする程度だった。

プロが出している書籍でさえも、現在のように確率を指針とした内容ではなく、オカルト寄りの理論が散見された。

ネット麻雀の天鳳で統計を集めて発表された、とつげき東北チームの書籍はある意味で衝撃であったし、ここ数十年の麻雀の歴史を一番変えたと思う。

 

プロ達が体感的に得だと思っている行動が大きく変わることはなかったものの、数値化されたことによって、オカルトと理論がハッキリと白黒つけられてしまった形になる。

あるいは「なんとくなく自分はこっちが得だと思う」「俺は損だと思う」といった意見が割れるものも「46%程度」であれば、「まぁどっちでも大差ない要素だったのか」と知れたのである。

この研究は現代でも条件を絞ってさらに進んでいる。(東場の親が東を一枚持つのと他の牌を一枚もつのはどちらが得になりやすいかなど)

 

・現代で麻雀を学ぶ

いま麻雀を学ぶとなればネット記事から動画までコンテンツは無数にある。

中でもプロやセミプロが解説する講座動画は便利なコンテンツだ。触れやすく内容に関しても解説が常時入るため見やすい。文字を読むのが苦痛の人でも問題ない。

かつて麻雀を学ぶ基本は書籍であったが、「一冊の本にする」という縛りがあったためにオールラウンドな内容で「広く浅い内容」が多かった。

 

手牌の形の基本から、ルール説明、役の説明、点数計算…せいぜいここまでである。守備について「現物」「スジ」の説明が少しある程度。押し引きなど存在すらしていない。説明が無いのである。

まぁ、それも150ページほどの一冊にまとめるとなれば省かれるのも仕方がない。さらに初心者向けであれば、まずはアガって楽しさを覚えてもらおうという部分にフォーカスされるのも理解できる。

しかし読者の多くの理解はここで止まってしまう。

 

だからこそ「アガりは作れるが、守備と押し引きができない」というプレイヤーが量産される結果になる。もちろん興味を持てば自ら学んで守備や押し引きを知る機会があるかもしれない。

上述したように現代であればプロが解説する講座が多々あるので、そちらを見ても良い。以前よりも守備と押し引きの存在は知ることができるし、学び方も無数にある。

それでも中級者以上のコンテンツとなると書籍(守備だけ、押し引きだけで一冊になる内容)や有料記事になってきやすい。

 

さらにハードルがあるとしたら「面白くない」に尽きる。

そもそも守備や押し引きの理屈は何となくわかるが、講座解説の話を聞いていても、記事や本を読んでも面白くない。内容が頭に入ってこない。

そうであれば仕方がない。私もAIほど正確に確率だけを覚えることはできない。数字を丸暗記するようなことはできていないため、卓上の判断が体感によるところも少なくない。

 

・雀魂での話

先日、ツイていたのかバンバン上がって点数を稼いでいる他家のプレイヤーが、バンバン放銃もしていて、しかも「その場面でわざわざ打つ牌じゃないだろう」という放銃の仕方をしていた。

ダントツなのに相手のリーチに対して中途半端な牌を切って放銃であるとか、副露でドラポンと役牌が見えているのに無筋を連打して押したり。

まぁ単純に守備と押し引きが無い麻雀なんだなと理解できたが。

結局は放銃も多いが、ほとんどそのプレイヤーしか和了できずに他は原点を割って終了という、運だけで押し切られた形になった。

 

先の役牌とドラポンの相手に「アガれらたら嫌なので自分は押す」「安牌が無いのでアガりきって凌ぐ」といった判断もなくはないが・・・。それにしても5万点もっていて、わざわざリスクを犯す理由など段位戦では皆無と言っていい。

それはものすごく解りやすい押し引きの判断だ。

他にも牌譜で見返しても、明らかな現物や安牌があり、かつ自分の手は安いのにリーチに対して危険牌を打って放銃している。(打牌批判やめなよ~)

リーチ以外に他家の聴牌気配も無いし、現物オリでいいだろうという場面なのに、まだ自分の手牌を完成させようと手を進めている。

 

最近の雀魂はもう王座が玉、玉が金、金が銀、くらいに押しあがってきているのかなと思わされてしまう。

以前から指摘しているように、麻雀アプリは末期になるほど「アガるだけ麻雀」が蔓延ることになる。

上記の話も天鳳などでよくある光景だろう。親のダブ東やカンドラ副露に、リーチのみ1300点でゼンツするのが日常だ。

 

守備や押し引きというのは麻雀をやるうえで具現化されていない部分である。

ルールに「3シャンテンから押してはいけない」とは書いていないし、5万点持ちのトップがダンラスのリーチに無筋を連打してはいけない、とは書いていない。

ルールで禁止されていない以上は別にやってもいい。だが、それでは成り立たなくなるのが麻雀でもある。

 

理由のない「ラス確定のアガり」などは初心者もよく批判されるところだろう。だが「やってはいけない」とルールブックに記載されているわけではない。

ラス目のリーチに放銃して、横移動し、全員がラス回避に巻き込まれる、といったことを「やってはいけない」とルールに書かれているわけではないし、不可抗力でそうなることもある。

上級者でもうまぶって裏目を引くことは多々ある。「テンパイ外しをしてシャンテン戻しから裏目を引いてアガり損なってはいけない」というルールは無い。

 

ルールには無い・・・っ、が!!駄目!!!

勝てない・・・!

それをやっていたら・・・!!

 

だが実際に相手と対面して打つ場合は、そう思っても口や態度に出してはいけない。麻雀は作法だ。忍耐だ。世の中の大半の人間にとって、99%のコンテンツはコミュニケーションのためであって、勝負のためなどではないのだ。

真剣に、考える必要など・・・!

く・・・っ!!!