守備の選択肢の話

バスケットの動画で興味深いものがあったので、ストリートバスケで活躍するプレイヤーとGリーグで活躍するプロの1on1対決。

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途中の細かいテクニック紹介はさておき、プロ側の選手は3:30付近で「(ストリートプレイヤーの彼は)ミドルレンジ以上のシュート精度が良くないと判断したので、ゴール下にドライブされるほうをカットして、ロングレンジでのシュートは打たれてもいいと判断した」とディフェンス側の視点を語る。

このあたり、プロスポーツであっても確率の勝負をさせられている面がよく伺える一言である。

 

さらにスポーツなど実力が反映されるゲームならではの側面もある。つまり彼は「ゴール下なら俺が止めてみせる」と言っているとも取れる。(実際にはゴール下が得意な彼の邪魔をしてシュート成功率を下げる…になるか)

ロングレンジでシュートを打たれたらお祈りゲーだが、ゴール下で勝負するというのなら実力で防いでみせる。相手の得意なことを封じて、苦手な部分で(確率の低い)勝負をさせると言ってもいい。

フィジカルによる強引なチャンスメイクもそうだが、麻雀の場合はここが常に運ゲーになるのが厳しいところだ。

 

だが、常に受け身にはなるがリスク管理はできる。リーチへの放銃や、ドラポンなど見えている高い手に振り込むくらいなら、他家の安いアガりに振り込んでも良いと判断するような場面だ。

格ゲーの押し引きでもあった損得勘定がそうだ。

麻雀においてプレイヤーが関与できる部分というのは、この押し引きに限定されるといっても過言ではないだろう。

守備の格言に「切る牌は自分で選べる」があるように、麻雀でプレイヤーの意志が介在するのは手牌から何を切るかという部分に集約される。

 

それがアガりに向かう一打となるのか、守備に徹した一打となるのか。

上記の動画内では「シュートを打つなら決めきるつもりで打て」ともアドバイスされている。

麻雀でも攻撃に向かったプレイヤーが「打ち切ってアガったほうが安全度が高い」と勝負に出ることもある。このあたりも勝負勘として必要な部分になってくる。

それを助けるのが現代では局収支などの統計要素になってくるだろう。

 

・選択肢を削るのが守備

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こちらもバスケットの動画から、守備をメインにしたもの。

 

バスケットはサッカーよりもさらに短期的にドリブル・パス・シュートの選択が繰り返されるスピーディなゲームだ。その中で「どれを・何を選択するか」が攻撃側の択になるが、それを削るのがまずDFの仕事だ。

守備というと「止める」ことをイメージする人も多いだろうが、まずは「邪魔をする」のが第一の仕事と言ってもいい。

ドリブルひとつ取っても、相手にリズム良くやらせてはシュート成功率も上がってしまう。それを気持ちよくさせないのも守備の入り口なのだ。

 

その結果として止めるというシチュエーションにまで持ち込める。

いきなりブロックだけを狙うプレイヤーは得てしてフェイントなどに簡単に引っかかってしまう。

サッカーにしてもシュートコースを限定して、最悪GKが止めてくれるまでコースを絞れればいいのだ。DFが常に完全に止めるまでいかなくてもいい。

 

上記の試合の中でもDF側は何本かシュートを打たれて決められている。

だが、それは麻雀で言えば「自模られてアガられるのは仕方がないが、自分は絶対に放銃しない」という方法で確率を下げるのと同じ。

最大限DFをしたうえで、打たれたシュートの何本かが入ってしまうのは確率の上では仕方がないと判断されるのだ。

もちろん、そのシュート成功率が非常に高ければ偶然ではなく、相手プレイヤーの実力が高いということで止めに行かないとゲームを制されてしまうことになる。

 

麻雀では守備か攻撃かの判断がまず問われる部分はあるが、配牌の時点で「これはだいぶ守備寄りだな」ということもある。

そのときに「当たり牌を止める」「放銃をしない」ということの他に、「相手の邪魔をする」という視点でもできる行動があるはずだ。

ドラの役牌を河に出さずに流局させるであるとか(自分のアガりが見えない手牌なのに打って相手有利にさせてしまう打ち手は少なくない)、下家に赤牌を流さないようにしたり、ケイテンを取らせないために終盤でも鳴けない牌を切るだとか(単純に上家に合わせて鳴ける牌を切ってしまうミスはある)。

 

守備を「相手に決定機を与えない」というだけで考えてしまうと選択肢が狭いこともある。

よく言う「相手の嫌がることをやれ」というのは、「邪魔をする」「有利に取らせない」ということになる。そうなると細かい選択肢は増えてくる。

もちろん麻雀の場合は自分の手牌が魅力的な場合は、他者に構うよりも、自分の都合を優先させたほうが良いのもよくあることだ。そこの判断も誤らないようにしたい。