先日、ちょっとした動画で某Mリーガーの打牌が「非効率的で意味が分からない」という指摘が相次いだもの。
他のMリーガーが牌譜検討のときに打牌を見ても「んん? なにこれ」となって、「(こういう打牌する人には)絶対に負けなくない」と発言させるほど。
まぁ、単純に非効率的な打牌をしたというだけなんですが、Mリーグほどのトッププロの集まりであれば「無駄な一打」が勝敗を分けるのは明らかで、ランダムな選択で失敗したというのならともかく、自分の選択で一打を無駄にしてしまう。「そんな相手には負けていられない」という気持ちがわくのも無理はないでしょう。
麻雀というのはときに妙手というものもあります。あえて非効率に打つことでリターンを大きくする。アガりを出やすくする。しかし、それは基本的なセオリーや確率に則った打ち方とはブレが出ます。
それでアガり逃して「あ~あ、素直にリャンメンに受けておけばよかった」「テンパイとっておけばよかった」「普通に枚数の多いほうで待っていればよかった」なんてやってしまったら目も当てられません。
ましてやMリーグなんて場でそんなことをしたらコメント欄で散々に言われてしまいます。それはそう、素人でもわかることをプロがミスするなんて…と総突っ込みです。
(まぁ聴牌外してくっ付き待ちくらいはよくあるけど)
逆に勝又やたろうといった打ち手はセオリー通りでもなく、素人が指摘できるものでもない打牌をすることがあります。そういったときは後のインタビューで理由を聞かされて「ああ、なるほど。そういうことだったのか」と納得させられる。
その場合は確率よりも、場況や読みに合わせた打牌をしていることが多いです。なので視聴者からは見えない情報(xxxさんの切ったときの仕草が~など)のときもある。
そういった根拠があって切られた牌であれば後からでも納得しやすい。
しかし中にはオカルトみたいな打牌をするプレイヤーも少なくない。土田プロの七対子などはネタになっている部分はあるにしても、本番でそれをやってしまうと現代雀士からは「なんだこいつ」と思われてしまうことでしょう。
元サクラナイツの沢崎も遠回しな打牌をすることで実況解説では話題にされやすい選手でしたが、その場合は巡り巡って無駄にはならない手順で組むようには心がけている。
いわゆる先切り気味に打つことで待ちをボカす程度。明らかに手順的に損をする切り方はさすがに避ける。
先切りによる損というのは基本的に出やすいです。暗刻にしてリーチも打てるがリャンメンに固定してしまう。結果、暗刻を逃すといったものが代表的。
しかし、これは出あがり率の上昇も含めてそこまで損になるとは言い難い。守備の面でもブクブクに持たなくて済むし、トータルでのメリットが上回りやすい。(ただ親番やドラが多い場合は聴牌優先でブクブクのほうが良いだろう)
現代において「牌効率で非効率な手組」というのは、「守備の面で得がある」「アガりやすさが上昇する」といった差し引きプラスの要素がある。
しかし、カッコつけて無駄に手をコネコネしたり、オカルト打法をしたり、場況読みにもなっていない勘違いで「オレの手順を見ろ~~」なんて無駄を踏んだら、ただの馬鹿です。
でも麻雀打ちにはこういったところがある。
アガれない麻雀、参加できない麻雀では、こういったことでもしないと「暇でしょうがない」からです。自分は何かやったぞ、麻雀に関わったぞ、勝負に参加したぞ、とやりたくてしょうがないのです。
ただ黙ってオリているだけなんて退屈だから。
あるいは逆にネガティブになりすぎて「どうせアガれないよ」と自摸を見切って早々にオリ手順を踏んでしまい、アガり逃す。相手の副露や捨て牌で「うわ、もう駄目だ」と怯えすぎてやめてしまう。
(まぁ前述の無駄に参加しようとするよりは守備寄りのほうがマシではある)
なんというか、こういうのって現代麻雀においては理の外なんですよ。
もう相手にされない。
「なんだこいつ」って思われて終わり。
それで「うわ~、上手いなぁ~」なんて思われない。
スポーツでもよくあるんですが、アマチュアの集まりに行くと「オカルトにこだわっている人」というのはメチャクチャいます。
幸運のお守り、とかならまだマシ。「ここから打つと当たるんだ」とか、「このシュートの回転だと入る」とか。いや、それただの偶然ですよ、としか言えないレベル。
「この角度で打つとセンター前に返しやすい」とか「この回転だとあのGKは苦手だからキャッチングできない」っていうなら理解できます。バスケのホットスポット(得意な位置からのシュート)とかね。
でも、たまたま上手くいったパターンを他でも通用すると思い込んでるだけで根拠ないですよね、というのが多い。(なんも言わんけどさ、相手もただの雑談でネタかもしれんけどさ)
で、こういう理外の行動をとる人が上手くいくことがあるのは、上手い人たちほど基本に則ってプレーしているからです。相手がこう動いたら、自分はこう動く。
相手もそれを理解して、自分がこう動けば、相手はこう動くはずだ。そういう読み合いからフェイントや駆け引きが生じて、結果が派生していく。
だけど、理外の人と対戦すると「あれ? なんでここで来ないの???」「このタイミングで動くのがベターでしょ?」「なんで誰もいないの?」となる。
上級者があえて裏をかくのとは別。解ってないけど結果としてフェイントになっている。
こういうのが通用するのは良くて最初の一回だけです。あとはもう「あ、この人は何も解ってないだけなんだ」とセオリー通りにゴリ押されて負けます。
理外の行動なんて基本的に得が続くことは無いからです。
たま~に成功しても、残りの9割は失敗しかしません。
勝負におけるビギナーズラックとかね、そういう原因もこのへんでしょう。
まぁ、Mリーガーでそんなことをしている人がいるとすれば、よっぽどな幸運が続かない限り成績は落ちていくと思います。
ただ成績とは別にファンはつくかもしれませんけどね。「こいつの打牌おもしれーな」とか「ほかの人と違う手順だから良い」とかね。
まぁ、それで勝てちゃう可能性も、勝ち越してシーズン終わる可能性も低くない。そんな運ゲーだから「競技未満」って思ってるんですけどね。
今期でそれが覆されたら少し認識を改めるかもしれない。
少しね。