麻雀における技術的なアドバンテージ

ネット麻雀の段位戦でどのくらいの差があれば運よりも実力が勝るのか。

雀魂を基準にして考えてみたい。

 

■はじめに

体感としては、雀聖~魂天の人が打って技術的なアドバンテージを取りやすいのは、初心~雀士あたりまで。雀傑~雀豪が相手ならほぼ互角程度にまで技術的なアドバンテージは落ちる。

 

つまり麻雀をやり込んだ人でも優位を取れる相手は初心者までで、中級者からは運次第ということになる。もちろん長期的に打ち込めば微差が積み重なって大きな差となっていくのだが、自分の体感でも配信でプロが打っているのを見ても、雀魂であれば銀の間でもそこそこ苦戦しているのを見ることになる。

 

上手い人が初心者と打つと定石や読みが通用しないため逆に翻弄される展開もあるが、基本的に牌効率を覚えた状態であれば配牌とツモ次第で展開が一方的になることも少なくない。

麻雀の成績は「微差の積み重ね」と言われるくらいには大きなアドバンテージを取りにくい。上級者でも優位を取れるのは初心者が相手までであれば、中級者を相手にする以上は(天鳳や雀魂であれば)やはりトップ取りよりもラス回避に重点が偏っていく。

 

「トップを取れるかどうか」「ラスを回避できるか」はどちらも運次第ではあるが、どちらも技術戦であるのは間違いない。打点を作ってトップを目指すのも、放銃を減らしてラスを回避するのも技術だ。

冒頭で触れた「優位性」とはプラスの要素、ポイントを稼ぐという意味になるだろう。

ラス回避することを「優位」とはいえない。

 

しかし、金の間から大きく差が出るのは「ラス回避」の視点だろう。

数字をプラスすることも大きいが、マイナスしないことも大きくなる。


■長期的に成績を残すには

サッカーの名言のひとつに「良いFWがいれば点が取れる、良いDFがいればタイトルが取れる」というものがある。

サッカーは点を取って勝つ競技であるが、点を稼ぐ攻撃陣よりも、長いシーズンにおいては失点を防ぐ守備陣のほうが重宝するという意味である。


麻雀でも似た考え方はできる。

点を取るということは大事なことだが、麻雀において点稼ぎは運が絡んでしまうため必ず結果と結びつくことはない。12000点の聴牌が1000点のノミ手に負けることもある。


安定して結果を出せるのは「失点をしない」ということになる。

麻雀は卓上に10万点の点棒があり、(ハコアリの場合は)それが増えることはない。全員が0点からスタートして点数を稼いでどんどんプラスにしていく遊戯ではないのだ。

最初の持ち点である25000点を「いかに減らさないか」というゲームでもある。

 

とはいえ点数を稼がなければ黙ったまま4着になってしまうこともある。どこかで攻撃にいかなければならない。そして前のめりになった結果、失点してしまう恐れもある。このバランスが押し引きであり、麻雀の駆け引きで肝となる部分でもある。


初心者の多くがこの「点数を減らさない」というゲーム性を見出していることは少ない。手役を作って高い点数でアガることは楽しい。攻撃に夢中になって守備のことなど考えないだろう。まぁ最初はそれでいいのだが。楽しむことが大事。

 

しかしネット麻雀でランク帯を上位にしたい、といった目標を掲げた場合にラス回避は避けて通れない問題になる。なにしろ麻雀とは1/4人しか勝てないゲームなのだから。

ダブロンやトルプルロンといった特殊な状況を除いて、一局につきロンやツモで決着がつくとすれば「一人がアガり、残り三人はアガれない」という状況が大半を占める。

 

このアガれない側の3人にも優劣はつく。それが失点である。

 

順位戦

親が東1で18000点の手をツモったとする。6000オールで、残り3人の持ち点は19000点。さらに次局で一人が親に12300点を放銃して6700点になったとする。

他二人がアガったわけでもないのに着順は最下位に落ちているのである。ウマオカという着順によるボーナス点や段位ポイントと呼ばれるようなものがあるときは順位が非常に重要なものとなる。

 

特にネット麻雀の天鳳や雀魂ではラス4着になったときのマイナス点はとても大きい。

こういった形式は主に「順位戦」と呼ばれ、素点(持ち点)よりも順位によるポイント配分のほうが重要視される。

 

1着 150pt 2着 50pt 3着 0pt 4着 -200pt

ポイント配分の例としては以上のようになる。3着まではポイントに大きなマイナスは無い。だが4着は一人で全員分のマイナスを背負わされる。そりゃあラス回避に必死にもなる。

 

親に6000オールもツモられたのは単純に「運が悪い」としか言いようがない。

しかしその後に12300点を放銃したことについてはどうだったのか判断は難しい。状況的に残り3人の点棒の奪い合いや失点は通常の状態よりもナイーブな状態にあったといえる。そこで仮に迂闊な12300点の失点であったのなら、それは残り二人に12300点ずつ分け合たえたようなものだ。

 

どこかでその差を埋めなければならなくなり、状況はさらに悪化する。

 

■失点は選択肢を減らす

50000点持ちのトップ、1000点持ちのラス、この二人を比較してみよう。

2,3着の二人からリーチが入ったオーラス。50000点持ちのトップは余裕をもってオリるだけでいいが、ラス目の自分は二軒リーチを相手に全ツッパしなければ黙って見ていてもラスのまま終わってしまう可能性が高い。

オリて横移動やツモ終了を期待するわけにはいかないのだ。

 

基本的に大差のラスであれば攻めるしか選択肢はなくなる。

そうなることでより攻撃的になって失点する。しかし麻雀という遊戯そのものがそういう仕組みであることは議論の余地がない。

逆に点数を持っているプレイヤーはオリるどころか、相手のアガリをアシストして局を進めたり、自分から振り込んでゲームを終了させることもできる。

 

そこまでの余裕が持てるトップであればもう何をやっても勝てるような状態なので気にするほどでもないが。

 

金の間以上の戦いであれば失点へのケアも意識していく必要がある。

相手の打点が高いときに無理をしない、自分の手が安いときに無理をしない。

聴牌したから即リーチ、というだけでは進歩しない。

 

■おわりに

段位戦、ランクマッチ、そういったものでいわゆる「初心者狩り」が行われることは「ポイントを稼ぐ」という点において有効な手段ではある。(マナーやモラルは除いて)

特に麻雀では技術的な優位が取れるのは初心者までがいいところで、あとは運次第で優位性はどんどん微差になっていく。

 

互角のマッチングで運次第になってしまう麻雀のランクマッチにおいては、特に初心者を相手にいかにポイントを稼ぐかというのは重要なことになる。

雀魂では上級者は下位のランクマッチに参加できない仕様だが、他の麻雀ゲームではその制限が無いものもある。

その場合は上級者が初心者向けの卓で打っている姿を見ることも少なくない。