実力勝負にならない麻雀の話

麻雀は運ゲーなのですが、だとしても実力が出る部分はあるわけです。

それが手順だったり、手牌や山読みだったり、守備だったり、押し引きだったりするわけですが・・・。

これらが無いほど運ゲーに寄ります。

 

つまり実力が無い人ほど運ゲーをするだけのゲームになってしまう。

たまたま聴牌できた。

たまたまアガれた。

たまたま振り込まなかった。

 

それは確かに上級者であっても結果的には同じことです。読みや安全度で選んだ牌を切ったところで当たってしまうか、かわせるかは運次第です。

しかし、言うなれば運転の上手いドライバーが「この先はちょっと危険そうだな」と長年の経験から危険回避できるようなもので、その思考と選択によって事故に遭う確率は減らせます。(ああ…!しかし麻雀にも交通にも何とも運の悪い避けられない事故はある!)

初心者ドライバーがワケも判らず運転していても事故に遭っていないのはラッキーか、もしくは周りのドライバーが避けてくれているおかげです。自分の実力ではありません。(まぁ教習所を出ていれば最低限それは無いけど…)

 

上級者は打牌に常に疑問をもちます。

「あの自摸切りリーチは何だったんだ?」

「手出しでドラ切りか」

「親のリーチに通ってない牌を切ってきたな」

 

こういった思考を踏まえて読みを入れて危険を察知し、回避するのです。

しかし初心者はそんなこと気づきもしません。「えっ、危なかったの? 全然きづいてなかったわ~。ラッキー助かった~」で終わりです。

それで勝ててしまうのも麻雀です。ウメハラに「100や200戦やっても実力が出ないゲーム」と言われても反論できません。その通りです。

 

麻雀というゲームは自由度の高い遊戯です。ルールがあり、その中で自由に打てます。

別に第一打に必ずドラを切ってもいいわけです。やってはいけないルールはありません。

しかし、それをやっていたら得をすることが減って勝利が遠のいていきます。ゲームとして成立しづらくなるのです。

 

突き詰めると初心者の麻雀というのは常にこれです。損をしてしまう選択を続けている。しかし本人はそのことに気づけていません。実際には中級者になっても、上級者になってもこの問題は付きまといます。

ただ、その頃には超微差の話になって「どっちがいいのか難しい」「AIに見せてもほとんど差が無かった」という領域になっていきます。

ですが、初心者のそれは「明らかな損」「明確に無謀」だったりします。でも初心者はそのことには自覚的でないから何とも思わず、運だけで良い結果を得てしまえば問題にしないのです。

 

・卓を囲む人によってゲーム性が変わる

どのゲームでもそうですがレベル帯によってプレイの幅は異なります。

プロのサッカー選手がプレーするのと、5歳の子供がボールを蹴るのでは、後者はまずゲームとして成立しないでしょう。高度なやりとりはさらに難しい話です。

1~2m先の相手にボールを蹴ってキャッキャッうふふする程度になるかもしれない。でも本人たちが楽しいのならそれでいいのです。(そんなのサッカーじゃねえ!見てろ!こうやるんだ!ってのは大人気ない)

 

麻雀も卓の上では同じことをしていてもプレイヤーによって解像度が変わります。素人が何もわからずにリーチ相手に無筋をバシバシ切っているのと、プロが無筋をバシバシ押しているのでは意味が違います。

こういった差が卓上には(本来)常にあるのです。

しかし、麻雀の場合はそれが必ずしも結果に反映されません。

 

だからプレイヤーの実力が見えづらい遊戯なのです。

放送対局などは手順や選択や思考を神視点で追えるため、経過で実力を判断しやすいですが、結果だけ見せられても負けた人がただ弱いだけに見えます。

逆にいうと結果的にただ勝っただけの人が強いようにも見える。

 

だから、もしプロと素人で対決して、プロが4半荘すべてハコシタで負けたとしたら「コイツよっわ・・・」と見えることでしょう。

でも牌譜で見たら「クソ強いのに全部ただの運で負けてるやん・・・」となるかもしれません。それが無くもないのが麻雀の恐ろしいところです。

結果だけでは決して実力を判断しきれません。

 

だから「オレ、麻雀が強いんだぜ。最近は負けなしなんだ」というような無自覚さは色々な意味で危険です。

勝ったか負けたかはたまたまです。内容がどうだったかのほうが問題になる。

勝った=強いではない。ここが初心者の人にはなかなか難しい意識だと思います。

 

だって他の競技にしてみれば勝っている人が強いのは当たり前の話です。

「負けているけどこの人は強いんだぜ」と言われても説得力に欠けるでしょう。

麻雀の場合は「まぁ、結果だけじゃそりゃわからん」となります。

 

ぶっちゃけて言えば麻雀の実力を測るのに結果なんて要らないのかもしれません。

勝敗を問うゲームではないのかもしれない。

だって最善を尽くし続けたとしても10連敗したっておかしくないゲームなんだもの・・・。