麻雀業界とお金の話

先日、Youtubeでふと見かけた「元プロ」の方の動画。プロを辞めた理由に「お金にならないから」というのを挙げていました。

それはそう、そもそも「麻雀プロ」って、逆にこっちが協会や団体にお金を払って「プロを名乗らせてもらってる」みたいなもの。「プロだからお金を貰える」ではなくて、「お金を払っているからプロ」なんですね。

 

「え?それっておかしくない?」というのが一般的な感覚だと思います。

だって例えば、プロの調理師、プロの建築家、プロの作家、プロのドライバー・・・。そういった人達はどこかの協会や団体に年会費を支払ってプロを名乗っているわけではなく、職業としての需要があって生計を立てている。その結果として周囲から「プロ」と認められているわけです。

であれば、麻雀プロだって麻雀で生計が立てられていれば「プロ」なんじゃないの?ということになります。

 

しかし麻雀で生計を立てるというのは現代の様々な方法を除けば、パチプロなどいわゆるギャンブラーの分類です。雀荘で他の客と勝負して、チップで利益をあげるようなやり方。

いわゆる雀荘の店員(メンバーと呼ばれる)は、お客さんと麻雀を打ちますが、負け分は給与から引かれます。働いてもお金にならないこともあります。そして麻雀自体は運ゲーなので必ず収支がプラスになるなんてことはありません。

安定収入には程遠いわけです。

 

そのようにして冒頭の元プロの方のように「お金にならないから」と、プロを辞めてしまう人も出てくるわけです。

こういった話は実は麻雀に限ったことではなく、スポーツの世界でもよくあることでした。今では当たり前のサッカー、バスケットなども昔はプロ化されておらず、社会人や大学生チームが実力トップクラスでした。

今でも社会人チームというのはありますが、働きながらスポーツ面でも会社にサポートしてもらえる環境があるということです。

 

しかし、プロ化されてもマイナーでテレビ放送もない、スタジアムに観客も入らないとなれば収益にならず、逆にプロ化される前のほうが生活は安定していた。なんてこともあったりしました。

そうなると選手も生活があるわけですし、スポンサーとなっている企業も赤字経営ならスポーツ部門を切るしかありません。プロになっても興行として続かなかければ辞めざるを得なくなります。

 

国から予算が下りている研究所でもない限りは、何かしら労働力として社会で働かずに物事を続けるのは難しいわけです。(研究所を悪く言っているわけではありません。研究そのものが職務であり、成果も求められます)

世の中の麻雀プロもMリーグに出ているほどのトップクラスを除けば、ほぼ全員が社会人として他の仕事を持っていると言って過言ではありません。そうしなければ生活が続かないのです。

 

現状で麻雀プロというのはお金を払うだけで儲けにならない。では、何故みんなプロになりたがるのか? という疑問は湧くでしょう。事情はそれぞれありますが、やはり「自分の実力を証明したい」「強い人と大会などで戦いたい」という目的はあるでしょう。

他にもタレントの方が肩書きとして「麻雀プロ」を取得することがあります。仕事上、放送対局で麻雀を打つときにテロップで「プロ雀士萩原聖人」と出たほうが見栄えが良いですからね。

 

女性タレントやお笑いタレントの方が取得することも最近では増えていますが、粗製乱造というか純粋に実力で上がってきた人達からすると「実力が及んでいない」と見られることもあるようです。

まぁ「清一色の待ちが一瞬でわからない」程度なら可愛いものですが、「役無しでアガる」などそれ以前のことが頻発すれば怒るのも当然です。

 

・お金にならない業界は続かない

もっとスモールに言えば「お金にならないジャンルは続かない」でも結構です。

世の中には流行というものがあります。タピオカジュースなんてものも流行りました。それはそのときに作られたムーブメントがあればこそ売れるものの、ブームが終わってしまえば売れ行きは落ちます。

お金にならなくなれば街から移動販売のタピオカ屋は消えます。

 

稼げない商売は資本主義社会で続かない。資本主義でなかったとしても、需要のない商売・職業というのは廃れていってしまうものです。

麻雀プロというのは今、新しい時代を迎えているなとつくづく思います。私も数年前まで多井貴晴も瀬戸熊直樹朝倉康心も知らなかったのです。

麻雀をやり込んでいても知らなかったのです。もしかしたら近代麻雀の紙面で何度も顔写真を見ていたにも関わらず、まったく関心がないので気づいていなかっただけかもしれません。(マンガ目当てで読んでいたので)

 

それがAbemaTVとMリーグの登場によって注目を浴びるようになりました。もちろん、その下地はRTDやA1など他のリーグ戦の放送を続けてきたものによるでしょう。

加えてSNSや動画配信サイトでの対話など、これまでにない露出を得られるようになったわけです。流行るきっかけというのは本当に時の運ですが、下積みがあればこそ実るというのも事実です。

ずっとやってきたからMリーグや雀魂で麻雀ブームがきたときに、多くのプロがワッとその流れに乗れたわけです。流行が来たから準備するぞ~!では遅いのです。

 

そして極端なことをいえばVtuberの中にはスーパーチャットやメンバーシップの収益で生計を立てている人もいます。単純にタレントとしての場合もあれば、千羽黒乃Vのように麻雀に突出した存在もいるわけです。

これはもう「麻雀で稼げない」とは言えない状況ではあります。結局は人気商売で人が根付かなければ続けられないものではありますが、「プロになっても生計が成り立たない」のとはわけが違います。(まぁ厳密に言うと今でもプロである必要はないんですが…)

 

ともかく「麻雀で飯が食える」。その選択肢が広まったということです。この状態が10年後も20年後も続いているかは不明ですが、天鳳が出てから麻雀で飯を食っているネットコンテンツ制作者というのもいますし、今でも活躍しています。

まぁ、収益があり生業として続けられるということの他に、自分の適性に合っていて、長く続けられる仕事かというのも重要になってきますが。

 

どんな分野であれお金にならないことは続きませんし、いくら情熱があっても続けられなくなります。お金になるというのは良いことなんです。才能もそこに集まってきます。神域リーグも主催の天開司Vは「やってみてぇ・・・!」で始めたことかもしれません。

でも続くのは間違いなく収益に繋がる面もあるからです。金に汚いとかそういうことじゃなく。(汚くてもカイジ系だから許すけど)

 

前回のトピックで「勝負を見世物にするのか」的なことを書いたけど、興行としてエンタメに落ちぶれなきゃ見る分には構わん! 金を払うから見させてくれ! 

マウント斗羽と伊狩が誰にも見られずに戦うなんてダメだろッッッ!!!!(刃牙ネタ)