配信のプロと視聴者の話

前回のトピックで、麻雀プロもインターネットの登場で収益化の方法が変わってきた、という内容に触れた。だが突っ込んでみれば、それは麻雀プロというよりも、配信のプロというべきかと思った。

配信のプロがたまたま麻雀をメインジャンルにしている状態。

 

どの視点から見ても根本は「人気商売」である。「人気を得る」という方法も多様だ。可愛いから、格好いいから、愉快だから、賑やかだから、静かだから、為になるから、しょーもないからなどなど。

もうこうなると個人の趣味嗜好になってくる。Mリーガーでさえ誰の配信チャンネルをフォローしているかは人によってバラつきがあるだろうし、全員をチェックしている麻雀ファンもいるだろう。

 

Vtuberもそうだが、群雄割拠である反面、どこかひとつが勝つということもない。口の悪さが嫌いという人もいれば、その毒舌っぷりが面白くて見ている人もいるだろうし。大人しくてアワアワしてしまう人を可愛いと思う人もいれば、鈍臭くて見ていられないという人もいるだろう。

私も麻雀Vを何人か見ているが、その選択には個人的趣向が少なからず入る。ちなみに千羽黒乃Vは嫌いではないのだが、いつもマイクがバリバリ音割れする元気の良さなので聞き続けるのが厳しい…。声優の野沢雅子は収録のときに「声がデカすぎてマイクが壊れるから離れて喋ってくれ」と言われたとか。実際マイクを壊すらしい。

 

・視聴者のマナーとモラル

「テレビを見るルール」なんてものが無いように、配信を見るのに共通のルールなど存在していない。だが、これまでのメディアであるテレビやラジオと違って、相互コンテンツであるインターネットは通常の人付き合いと同じように、マナーやモラルといった気遣いが必要とされる。

今は学校教育でネットゲームからSNSに至るまで作法が教育されるため、子どものほうがネット上では礼儀正しいくらいである。逆にそういった教育を受けていない壮年、老年の人のほうが無礼なことも少なくない。

 

  • 他の人が見て不快と思う発言をしない
  • 自分がされて嫌なことをしない
  • 配信者が主役である

 

まぁ、こうなると結局は現実での人付き合いと変わらない。忖度が入ったりして迂闊に軽口も叩けない。「xxxちゃんすごい!」「えらいね~!」ばかりになっていく・・・。あ、俺そういうの駄目すぎる・・・(闇属性)。

 

他にも注意喚起としては「配信者に入れ込み過ぎるな」といったアイドル系にドはまりしてしまう人への注意なんてのも見受けられる。

実際に高額スパチャが凄まじい人もいるので怖いなぁと思う。よく5万円をポンポン投げられるな。石油王か?

 

こういったインターネットの経験を積み重ねることで我々は学びを得るのである。

 

・麻雀のレベルが上がれば視聴のレベルも上がる?

直近のトピックで「エンターテイメントでは勝負の行方よりも、ド派手な展開のほうが好まれる」という内容を書いた。麻雀においてもそれはあるだろう。野球やサッカーにだってある。

0-0で競っていて、最後に1点をもぎ取って勝利した。といった内容の場合、玄人がずっと見ていた場合は「いや、すげぇ試合だった・・・」となるのだが、チラ見しただけの初見からすれば「しょっぱい試合だなぁ・・・」としかならない。

それよりは「10-0」とか「ノーヒットノーラン」といった大差のほうが解りやすい。

 

前者の試合展開の場合は、一挙手一投足が緊張に溢れている。「ここで打たれたらもう終わりかもしれない」という張りつめた空気がずっとある。お互いのチームが細かい駆け引きをして、その僅かな均衡が崩れたときに勝負が決する。

いうなればすべてがハイレベル、あるいは互角であるがゆえの緊張が生まれる。それ自体が楽しいのだ。「何を投げるかな」「どういう作戦で来るのかな」「誰を交代選手で使うのかな」と試合の展開ひとつひとつを楽しめる。

 

後者の場合は「誰が出るか」「何を投げるか」なんてところは割とおざなり。大量得点で誰もかれもバカスカ打つし、記録が途切れればあとの展開には興味が失せていく。

景気が良いので見ていて爽快感があるが、花火が終わってしまえば「なぁんだ、もう終わりかぁ」と去っていく。

 

インターネットを介して麻雀のレベルが平均的に上昇傾向にあるだろうと過去にもトピックを書いた。であれば、視聴者の多くも麻雀において結果よりも内容で評価すべきというのは解ってきているはずだ。

エンタメとして派手な展開のほうが好まれるのも解るが、選手の選択が正しかった(結果負けたとしても)という評価を下せるようになっているのではないか。

玄人志向な見方をできる人が増えているのではないか。

 

麻雀の結果は言うなれば運だ。

まずこれを理解しないと始まらない。実力は内容においてしか評価できない。結果が伴うかは運次第なのが麻雀だ。だからこそ、経過を楽しめる玄人志向な視聴スタイルでなければ麻雀というエンタメをお行儀よく視聴するのは難しいかなと思う。

 

Mリーグ白鳥翔大三元をアガり逃したことがあった。コメント欄ではもちろん「何やってんだ!」「うわ~勿体ない!」といった声も多数あったが、「手順的には当然」「これはアガり逃すのが正着」といった冷静な意見もあった。

まぁ大体の人も感情的には前者、思考は後者・・・といったところだろう。

 

「麻雀は(結果で)実力を競うものではない」ということを念頭に置けば、視聴するポイントは自ずと手順や押し引き判断になっていくのではないだろうか。

今後、神域リーグでもそういった視聴者が増えることを望んでいる。