麻雀とローグライク

日本では「風来のシレン」や「トルネコの大冒険」などで馴染みのある「ローグライクゲーム」。ダンジョン探索がメインの作品もあるが、基本的に「ランダムに組み合わせが変化するので無限に遊べる」という点が当時からの売り文句である。

 

実際にこれらのゲームは毎回、ダンジョンの構成、拾得できるアイテム、出てくる敵(配置や数)などがランダムに変化することで、毎回違った楽しみを与えてくれる。

さて、こう書くと「おお、麻雀と一緒だな」と思われる諸兄も多いだろう。実際にローグライク側でも「麻雀のようなゲーム」と例えられることは多い。

 

楽しみな部分が麻雀と似ているが、残念な部分も麻雀と非常に酷似している。つまり後半になって突き詰めるほどに「運ゲー」となっていくのだ。アイテムの効果、敵の行動パターン、ダンジョンのギミック、これらを網羅したプレイヤーにとっては「ダンジョン構成、アイテム、敵」のランダム運でしかないわけだ。

RTAでは浅い階層で良いアイテムが出なかった場合はリセットされてしまう。つまり「このまま継続でプレイしても無駄」ということがハッキリと判っているのである。まぁ、もちろん麻雀と一緒でオーラスのダンラスでも「もしかしたら」役満で点数移動があるかもしれない…くらいの期待値はあるだろうが、リセットしたところで誰に迷惑がかかるわけでもないので即リセットされる。(つまり期待するだけ無駄なレベルで有り得ないと思われている)

 

・そこに至るまでの成長を楽しむのが本編

RTAでプレイする層に比べたら、普通のプレイヤーはここに至る以前に飽きて辞めるだろう。覚える情報があり、それらを覚えることで成長へと繋がる。そして、たまに理不尽で不運な展開もあるが、それでもまだ楽しいと思える部分が多くある。

この頃が一番おもしろく思える時期だろう。

 

どのゲームでもそうだが、パターン化してしまうと飽きを感じるプレイヤーは一定数いる。「作業ゲーが苦手、面白くない」という層はここに当てはまるかもしれない。同じことの繰り返しで発見が無いと驚きもない。そうなればやっている意味すら消失してしまう。

 

麻雀にもこういった「覚えることで楽しみを得られる時期」というのが存在する。ゲームの深みにハマる部分だ。麻雀に限らずだが、どのゲームにも「ルール以外に覚えると有利になる定石」というものが存在する。

よく言われるのは洋ゲーなど説明が雑で、いきなり始まるゲーム。これらは後から「そんな効果があったのか!」と知ることが少なくない。結果としてその不親切とも思える説明の無さが、発見や驚きを生むことがある。

 

麻雀でも「へー、そういう見方があったのか!」と知って驚き、実践して効果を体感することは多い。これは楽しい体験である。

だがクソみたいな感傷に浸る事すら許されない麻雀の理不尽が後に襲い掛かる。

 

・麻雀における成長と転げ落ちる坂

似たようなトピックは何度か書いていると思うが、麻雀における成長の度合いを数字で表してみよう。

 

・初心者 Lv:10

・中級者 Lv:50

・上級者 Lv:80

・プロ級 Lv:90

 

まぁ、こんな感じと仮定して、大半の人はLv:10~80の間である。

初心者と中級者だと「運」以外にも、知識や技術でも差があるため勝率に差が出やすい。単純なレベル差によるステータス以外にも、攻撃スキルや装備でも差があるような状態だ。なかなか歯が立たないことだろう。

だが、Lv:50とLv:80だと、もうそこまでの差は生じにくい。Lv:50がLv:80を取って食う展開も珍しくなくなる。

ほぼ同じ装備と攻撃呪文。Lv:80のほうがちょっと耐久が高い程度の違いしかなくなってくる。当たれば五分の攻撃力で殴り合っているので、運による部分がだいぶ高まってくる。

 

Lv:90帯も同じようなものだ。ここまでレベルが上がってしまうと他人と差がつくほどの目新しいスキルや呪文も無い。装備もみんな同じようなものを揃えている。何かが有利になるという展開が少なくなってくる。

となると結局は勝敗を分けているのは運が大きくなってくるのだ。

 

麻雀において成長過程を楽しめるのはLv:50の中級者あたりまで、ということになるだろう。そのあとは「5%くらいの確率で相手の攻撃を避けられる防御呪文」とか「3%の確率で攻撃を当てやすくなるスキル」程度の効果しか得られなくなっていく。

覚えるものも少なくなるのに、その効果もショボくなっていくのだ。

 

普通、強くなるにつれて強力な呪文とかスキルとか覚えられるんじゃないのか!という感覚だが、まぁこの手の遊戯に限っては逆で、どんどん選択肢は無くなっていくのである。

つまり成長という変化がなくなっていく。

「麻雀・・・つまんね・・・」となっていく時期である。

 

・そして「運ゲー」へ…

こうして冒頭のローグライクと同じく「もう運ゲーですわ」の領域へと突入してしまう。ここから先を楽しめるかは、やはりギャンブル性の遊戯に対する資質があるかどうかだと思う。

「もうちょっと実力寄りの(あるいはそう感じられる)ゲームのほうが良いな」という人は、ここまでである。

 

麻雀でもそこはあるのだ。Lv:10からグングンと伸びていく時期。だがその時期を過ぎてしまうと、その楽しみは失われてしまう。あるいは実感が薄くなる。娯楽として享受できる範囲を超えてしまう。

苦しい半荘を繰り返して「効果・・・あった、ような気がする・・・」程度のものへと変わっていく。

 

まぁ、麻雀を憎んではいかんね。

麻雀は何も変わってないんだよ。変わったのは自分なんだ。

麻雀を楽しめなくなったのなら、それは自分が変わったということ。

 

俺にはもう麻雀が・・・よくわからんのよ・・・!(それは呆け)