プロでも素人に負ける話

プロが素人と打っても負けるのが麻雀、というと「本当かよ」という人もいるかもしれないので、一応言っておくが普通に負ける。

ネット麻雀の配信対局でも負けるし、雀荘のゲストで来ていても負けるし、大会でも負ける。

それはプロが手加減してるんじゃないか、本気で打っていないんじゃないか、という疑念も無い。本気で打って、本当に負けている。

 

そのくらい「運の偏りのほうが結果に影響しやすい」のが麻雀だ。実力なんてオマケみたいなものでしかない。ゆえに初心者では難しくとも、アガりを覚えた中級者であればプロと互角以上に渡り合えてしまうのが麻雀の怖いところでもある。

例えば私と園田賢や小林剛といった打ち手が同卓したとしても、私が圧倒的に勝ち越す可能性も低くない。結局、麻雀とは配牌とツモが入らなければ相手がプロだろうと人形だろうと同じことなのだ。座っているだけで勝負に参加していないのだから。

 

「麻雀なんてね、配牌とツモが良い奴が勝つんすよw」と笑い半分に断言してみせた某ゲーセン店長。そこいらの自称・玄人よりも麻雀を解っていると思う。

それがしょせん麻雀の真理なのだ。それ以上には決してならない。

 

まぁ、プロといえば素人が知らないようなテクニックや知識があるんだろうと思いがちだが、麻雀においてはそこいらのネット麻雀の強者と大差ない。

麻雀はカジュアルなゲームなのだ。そんなに独特なテクニックが存在するということはない。あるいはプロのスポーツ選手のように日々、ハードワークなトレーニングで肉体を維持するという必要もない。

麻雀プロは一般人が出力できないレベルの何か、を持っているわけではないのだ。

 

草野球が上手い人でも、大谷と同じパフォーマンスは出せない。

草野球の人は普段は会社で仕事をしているし、家に帰ってジムで筋トレをする暇もない。打撃練習も投球練習も長時間を使って行うことはできない。専門のトレーナーもチームのサポートも無い。

大谷は毎日トレーニングをして、守備も攻撃も練習を重ねて、試合で実戦もハイペースにこなす。多くのトレーナーが体つくりから知識に至るまでレクチャーを施し、食事もチームが面倒を見てくれる。

 

麻雀プロにこういった違いはない。

勉強会はあるが、それも一般人が行えないレベルではない。集まって研究会を行うのは何もプロに限った話ではない。

麻雀に時間を割くという意味ではプロが抜きに出ることもあるが、プロも麻雀だけで生計を立てられるのはごく一部だ。そうなると普通の社会人と変わりない人が大半である。

 

・プロに失望するかどうか

Mリーグでも他の放送対局でも出場して負けていく選手は必ず出てしまう。そういった人たちに対して、プロなのに情けないだとか、下手くそなどとは思わない。本気でそういったことを思うのは麻雀を実力勝負だと思っている人だけだろう。

短期決戦なんて余計に時の運だ。

Mリーグに素人が出ても、バカヅキが続けば勝ち越すのだって無理ではないだろう。「プロだったら相手の跳満を無効にできる」「満貫のアガりを取り消せる」などといったことはない。誰だって跳満満貫をツモられたり、リーチ後に振り込み続ければ負けてしまうのだ。

 

だからこそ「プロなのに~」なんてことは存在しない。プロだって普通に負けるし、長期で負け越すことだって普通にある。素人相手に手も足も出ないことだってある。

それが麻雀なのだ。プロが悪いのではない。プロにだってどうしようもない展開があるほど理不尽なのが麻雀の本質なのだ。

 

野球の大谷や将棋の藤井といった面々が素人になすすべもなく敗北していたら「そんなことがあるか・・・」と失望する人もいるだろう。まぁ、野球と将棋でそれは起きないわけだが、麻雀ではそれが当たり前なのだ。

だから麻雀は「勝ったから強い」というのが不自然な遊戯なのだ。勝っても運だけというのが普通すぎて、実力だったなんて言えないのである。

(勝ったら実力で、負けたら運なんてのも都合よすぎでしょう)

 

今後、神域リーグでVtuberの面々が打つことも多々あるが、それらもお祭りとして見て、実力を決するなどという目では見ないほうがいいだろう。余計な争いを生むだけである。

ところで千羽黒乃Vがドラフトで落選したとのことで話題だったが、Mリーグにしろ新規の取り込みによって新しい風をどんどん入れていこうという方針なのだろう。千羽師匠はもう麻雀Vとして確立していて、知名度もあるし、それよりは今頑張っている、これからの人達にスポットを当てる場として機能させようということかと思う。

 

これもまた「実力を決する場」というよりも、「プロモーションとしての場」として機能させようとしているのが伺える。

麻雀をどう扱えばいいか、運営側もうっすらと察している感がある。