押し引きを知るのが中級者以上になる話

「押し引き」というのは麻雀用語だけではなく、わりと広く一般的な用語であると思っています。

それというのも基本的に押し引きというのは「その場の状況に対して押すか引くか」という状況判断を表した言葉で、特に麻雀に特化した言葉でもないと考えるからです。

ただ、確かに麻雀においては「どうするか・・・」という状況判断の機会が多いため、言葉の使用が多いのも事実です。

 

かくして、押し引きというものは勝負事なら概念として常に存在していると言っても過言ではありません。それ以外の日常においても、です。

例えば将棋などでも「ここで強く押すか判断が難しい局面です」「引いて守るのも有りでしょう」なんて言われます。麻雀でも同じように実況解説されますね。

サッカーでも守備をするか、攻めるのに人数を割くかは判断が難しいところです。

他にも海で漁師が沖を見ながら、「もうちょっと遠出すれば良い魚群を見つけられるかもしれない」「でもこれ以上は嵐で港に戻るのが危ういかもしれない」とふたつの判断を迫られるとしましょう。これも一種の押し引きだと言えます。

 

どの分野でも押し引きというのは、基本的な知識などと違って最初は形が見えにくいものです。その存在にすら気づけない人も多いでしょう。

格闘ゲームでも「相手の大キックけん制のあとにジャンプして攻めてもいいものだろうか」というのは押し引きとしてあります。

キャラクターによっては「まったく隙が無く、このあと攻められても着地までに対空で落とせる」ということもあります。それを知っていれば攻撃はできないという判断になる。

 

技の特徴を覚えるとかコンボを身に着ける、といったのとは違う知識です。

格闘ゲームでも実はここの部分は結構綿密に決まっていて、「ここは五分五分だけど押したほうが得」「ここで無理矢理攻めるのは損が多い」などのシチュエーションごとの判断が決まっています。

そしてときに麻雀と同じように「かなり不利だけど、ここで行かないともうタイムアップで負けてしまう」とゴリゴリの押しになることもあります。

 

こういった状況判断はバトロワFPSでもスポーツなどでも同じでしょう。

 

麻雀ではたとえば牌効率などは見たままの形で答えがあるものの、押し引きは総合的な知識や経験の集合であるため、初心者が最初から基本として覚えることはできません。

しかし、決定的に必須となる技術です。

 

麻雀における押し引きというのは今後さらに細分化、あるいはもっと明確な言語化が成されるかもしれません。現段階では非常に曖昧というか、広義であるためにボヤっとした印象があります。

今後は統計によってさらに局面の損得が明確になっていきます。ときにはそれに従わないことも必要になってきますが、基本的にそれを指標として判断基準にするのであれば、単なる「押し引き」という単語に留まることはなくなるかもしれません。

近いうちに牌効率やベタオリのように局面ごとのパターンもかなり決まってくると思います。現段階では、まだ「でも麻雀って色んな局面があるから…」で済まされている部分がなくなってくると思います。(トップクラスはとっくだろうけど)

 

牌効率やベタオリも「レアケース」というのはあります。「こんな牌ひくか~」とか「そんな形で入ってたのかー」というあり得なくはないけど非常に確率は低い、といった現象。

押し引きでも「いや、こんなことあるのか」というレアケースを除けば、「これは大体こうなる」「この状況ならこうしたほうが得」というのは、すでにかなり決まってきていると思います。

ただ、それをケースバイケースで紹介していたらキリがない、と思ってあまりやっている人も少ないのかなと。ただ積み重ねでだんだん多くの人に見えてきてはいる。

 

インターネットの発展でプロの検討配信が続けられ、多くのプレイヤーの中に知識と経験が共有されて、プロの思考や選択や理由が並列化されて、今後はさらに進化系が出てくるだろうなと。

麻雀の押し引きがパターンとして決まりやすいというのは、格ゲーやFPSと違って麻雀にはアップデートが入らないためです。

何百万パターンあろうと、それらよりは明確に限界があり、変化しません。徐々に決まってきます。AI使って多くのパターンを研究するのが今後も継続されていくでしょう。